そんな私を見て舌打ちをした煌君が、私のカバンを掴んで校舎の中に入っていく。



『煌君⁈ 早いっ、早いって!』


ずるずると私を引きづりながら進んでいく煌君に文句を言うも、それを無視して煌君が進んでいく。


……待って待って‼︎


引きづりられてる足も痛いんだけど、私たちを見る周りの目が怖い‼︎


特に、女子!



煌君、人気って翠が言っていたし、ファンクラブ的なものがあるなんてクラスの子が言っていた気もする。


……そんな煌君に引きづられてる私って、絶対恨まれる的だよね。



立ち止まる様子の無い煌君に溜息をつき、諦めて抵抗をやめる。


というか、翠と快斗君、あんなど真ん中で喧嘩させたまま放置しても良いの?


本人達が良くても、周りに迷惑かかるよね?



その事を考えてまた溜息をつくと、煌君がいきなり立ち止まった。




『あ、ついた?』



『着いたじゃねぇよ、バカ』



煌君を見上げてそう言った私の頭を叩いた煌君がそう毒をはく。


全く。

女の子達は、こんな奴のどこが良いんだか……て、私も人の事言えないんだった。





『百面相してないで、入るぞ』



『はいはい』


ギロッと煌君をにらみながらそう言って教室の中に入る。


『遅かったわね』



『……翠⁉︎』




なぜか1番前の自分の席に座っていた翠と目があって、思わず叫んでしまう。


だって、翠より先に来たよね?!



『琹莉を連れて行かないでよ、煌』


ギロッと私の後ろにいた煌君を睨みつけながら翠がそう言ったのを無視して、煌君は自分の席に向かう。



『何なの、あいつ』



そんな煌君の後ろ姿にそうはきすてた翠に苦笑いを浮かべながら、私も自分の席に座った。