『嘘じゃないわよね? 栞莉』
そう聞いてきた翠に慌てて肯定して、煌君の方を見て、謝罪のつもりで両手を合わせる。
『煌……⁇
分かってるわよね?』
私から煌君へと標的を変えた翠が、煌君の元へと近づいていくのを見て、安堵の溜息をつく。
煌君になすりつけちゃったけど、別に嘘ではないから大丈夫だよね?
翠から逃げはじめた煌君と、煌君を追いかける翠を見ながら笑みが零れた。
『まーまー、翠チャンせっかくのプールなんだから思いっきり遊ぼうぜ⁇』
暫く、傍観していた快斗君が、我慢できなかったのか、煌君と翠の間に入ってそう言って翠をなだめる。
……さすが快斗君。
もう、怒った翠を止められるのは快斗君しかいないんじゃないかなって思うよ。
『快斗君、何するの?』
落ち着いた翠を見て、翠達のところに向かいながら快斗君にそう聞く。
『栞莉……お前っ』
そんな私に文句をつけようと口を開いた煌君を翠が睨みつけると、舌打ちをして、煌君が口を閉じた。
……よっぽどさっきの翠が効いたんだね。
『栞莉チャン‼︎』
呼ばれた方を振り返ると、どこから取り出したのか分からない、快斗君が投げてきたボールをキャッチする。
『……これ、水球?』
自分の手の中にあるボールを見てそう呟くと、私からボールを受け取った快斗君が大きく頷く。
『そ! やるぞ、水球‼︎』
やる気満々で声をあげた快斗君に、翠が右手をあげる。
『私、やったことないわ』
『あ、翠も?
私もやったこと無いよー』
嫌そうにそう言った翠に笑顔で言うと、翠も笑顔を返してくれた。
『俺もやったことないから、大丈夫だろ‼︎』
ボールを片手にお得意のスマイルで自信満々にそう言った快斗君を、思わず凝視してしまう。
だって、ね?
『やる気満々のくせに、初めてやるとか、お前本当馬鹿だな』
私が思ったことを煌君が毒を増して代弁する。
……殆ど同じようなことを思ったけど、ここまでひどくはない‼︎



