『栞莉チャン、今日空いてるよな⁉︎』



空いてる? じゃなくて、空いてるよな? だなんて。



電話越しに聞こえてきた快斗君の言葉に笑みを浮かべながら肯定の返事を返す。



本当、快斗君らしい。




結局祭りの後も、煌君と平然を保つために自分を抑える努力をしたためか、夏休みの内に会った数回で何を思う事もなかった。




ただ、祭りの後、どう帰ったのかだけは記憶がないんだけど。



なんとなく、煌君への気持ちを呆然と考えながら翠と話した気もする。




『それで、今日の夜8時に学校に来て欲しいんだけど』



『……え?』




電話越しに聞こえた快斗君の言葉に、思わず目を見開いて聞き返してしまう。



まぁ、快斗君には見開いて驚きを表した目なんて見えないんだけど。



『ちゃんと着替えも持ってこいよ?
夜のプールに潜入するんだから』




自信満々にそう言った快斗君に聞こえないよう、携帯を少し離してからため息をつく。




確かに、聞いた気はするけど。


本当に実行するとは思わなかった。


翠と煌君は、こうなることお見通しだったはずだけど、まさか快斗君がここまで追求するとは思わなかったや。



『快斗君、夜の学校って、入ってもいいの?』



『いや? 進入禁止だけど、それが楽しいんだ‼︎』




意気揚々とそう言った快斗君に、思わず携帯が手が滑り落ちそうになる。


何が、それが楽しいんだ‼︎ なのか。



この前の花火大会だって、煌君も立ち入り禁止のところに入って行ってたし、もしかして、こんなことは普通……な訳ないか。