『……てるけどな』
私の歩くスピードに合わせてくれたのか、さっきよりも遅く歩いていた煌君が何かを呟く。
『何か言った?』
聞こえなかった。と笑って言うと、どこか頬を赤らめた煌君を見て首をかしげる。
『煌君⁇』
少し目線を落とし、黙ったままの煌君を不思議に思い声をかける。
『……似合ってると思う』
気のせいじゃない。
今度こそ、本当に顔を赤く染めて。
そう呟いた煌君に、思わず固まってしまう。
だって、今……。
『……なんか言え』
沈黙が辛かったのか、赤らめた顔を隠すような手で顔を覆った煌君がくぐもった声でそう言う。
なんかって、言われても。
『じょ、冗談?』
『……は?』
慌てて発した言葉に、明らかに不機嫌になった煌君が、眉間にしわを寄せた。
『じゃ、なくて!
ありがと!』
絶対、自分も顔赤くなってる。
煌君のが移ったとか言えたらいいのに、今の雰囲気がそう言わせない。
『……りんご飴、だろ?』
暫くお互いを見つめ固まっていると、不意に、煌君がそう言った。
『あ……うん』
そんな煌君に返事しながら、いつの間に入れていたのか、強張っていた肩の力を抜く。
……なんだろう、この感じは。
初めて、感じた。
きっと、快斗君に言われたって、赤くならなかったはずなのに。
ありがとうって、返せたはずなのに。
煌君となると、そう簡単にいかなかった。
『ほら、りんご飴』
目の前に突き出され、受け取ったりんご飴を見つめてハッとなる。
『煌君、お金!』
この前のドーナツだって、結局は煌君に払ってもらったんだから。
『別に、いらない』



