『……ん?』
いきなりの事で理解できていない私を見て、口元に笑みを浮かべた煌君を見る。
『置いていけばいいだろ、あいつら』
どこか楽しそうにそう言った煌君は、私の言葉を聞かずに手を引いたまま2人から離れて行く。
そりゃあ、早く回りたかったけど!
2人を置いてきたままで良いの⁉︎
屋台の並ぶ所まできた煌君が、何を思ったのかいきなり止まったせいで、背中に思いっきり鼻をぶつける。
『いった……』
ぶつけた衝撃でヒリヒリと痛む鼻を抑えながら煌君から離れる。
『何してんの、お前』
振り返ったのか、私を見ていた煌君がそんなことを言って鼻で笑う。
『煌君がいきなり……‼︎』
鼻で笑った煌君に、私の中のイラつきパラメーターが上昇していき、言い返そうと口を開けた瞬間だった。
『……っ、ゴホッ』
胸が苦しくなり、喉の奥から咳がこみ上げてくるのが分かって口元を手で覆い隠す。
『……栞莉⁇』
しばらくたっても止まらない咳に、さすがに不思議に思ったのか、煌君が私の顔を覗き込見ながらそう言う。
『……大、丈夫‼︎』
ダメじゃん、私。
折角の祭りなのに、こんな事で煌君に心配かけたら。
そう思いながら笑顔を作り、咳を無理やり押し込めてそう言う。
咳が落ち着き、いくつか深呼吸をしながら落ち着きを取り戻す。
……絶対、煌君に不審がられる。
そう思っていた私の頭の上に、何かが置かれて、思わず顔を上にあげる。
『風邪気味か?
あんま、無理すんなよ』
何か、の正体は、私の頭に置かれた煌君の手で、わずかに感じる体温に、思わず顔がほころぶ。
『ん。ありがと‼︎』
『……アホ面。
いつも通りだな』
笑顔でお礼を言った私をけなし、薄く笑った煌君に、眉がピクリと上がる。
……心配、してくれてたよね? さっきまで。
さっきまで、だけど!!!



