「あの、えーっと…」
「林って電車通学で、川崎駅から歩いて来てるんだよな?だったら、うちの近くを通ったら遠回りじゃね?」

うう!!痛いとこを!

「あー、なんか回り道したい気分だったんだぁ〜……」

こんな言い訳が通じるわけない。
冷や汗が出てくる!もはや体ごと冷や汗になっちゃえばいいのに!

「へー。そーだったのか!そういう時あるよな!じゃな!」

え。
し ん じ た ? !

風のように去っていった彼の後ろ姿を見ながら、私はポカンとしていた。もちろん美穂も。

「まあ、絢葉ほどじゃないけど、吉澤くんアホだもんね……」
「失礼な……でも間違ってないけど……」

「席座れ林!SHR始めるぞ!」
(SHRとは……ショートホームルームの略。朝の会、朝学活のようなもの。)

げ、いつの間にか担任が来てた。

「はい…」

なんとか、吉澤くんのアホさに救われたけど、変な気分だな…。