「だがそうなると、お前の役目はもう終わりだな」
終わり?
「ボディーガードの仕事は必要なくなるし、世話役も美琴様やその別荘の使用人がやるだろう」
そうか。
今までとは違い、亜美の周りには敵がいなくなるってことだもんな。
世話役も護衛人も有り余ってるだろうし、必然的に俺の役目は終わったってことになるのか。
「社長も美琴様を信頼していると聞く。話せばすぐにでも手配してくれるだろう」
だろうな。
社長にとっても美琴さんは唯一の味方だろうし。
終わり…か。
なんか呆気なく終わったな。
面倒なことが終わったはずなのに、気が晴れない。
…俺は、もっと亜美の側にいてやりたいと思ってるのか。
あの小さい体で苦しみと必死に戦ってる亜美を近くで守ってやりたいと。
…いつの間に、こんなに強く思ってたんだろう。
でも、亜美のためを思えば、美琴さんの近くにいた方がいいことくらい分かる。
だったら…。
「亜美の荷物の移動は親父に任せる。俺は一旦戻って自分の荷物を取ってくるから」
俺は、この任務から手を引こう。



