守りたいのはお前だけ




「それはそれは、もうフランス人形みたいなとても綺麗で可愛い子だったって話で」



わははっと笑う親父を見て、俺は怒りを通り越して呆れていた。


俺のドキドキを返せ、このクソ親父。



「…帰る」


「あーっ待て待て待て!!続きがあるんだ」



部屋を出て行こうとした俺の腕を掴み、親父がソファに座らせる。



「どうもそのフランス人形ちゃんは訳ありらしくてな」



フランス人形ちゃんって…。

失礼にも程があんだろ。


なんていう突っ込みは話が長くなるだけだと分かっていたから、心の中だけに留めた。



「訳ありって?」


「それがな、実はあの花京院財閥の隠し子だったらしくてな」



か、花京院だと!?



「花京院財閥って確か世界でもトップを争う財閥だよな!?」


「そうだ。日本のトップである吉野財閥と代々親交のあることでも有名な財閥だ。

そこの隠し子であり絶世の美女となれば、放っておくはずもない」



そうか。

その子を人質として取れば花京院財閥に少なからず動揺を与えられる。

狙われて当然ってわけだ。