「美琴さんはこれから日本に住まわれるのですか?」
「ええ、可愛い妹を1人になんてできないもの。私、この近くに別荘があるから、そっちにね」
別荘…。
やっぱ金持ちは持ってるもんなんだな。
「そうだ!ねぇ、2人とも私の別荘に引っ越して来ない?」
え…。
「その方が亜美も気楽になれると思うの。どうかしら?」
確かに、ここにいるよりも美琴さんの家にいる方が安心できる。
それに、すぐにとは行かないけど、心が癒されれば精神的に失った声も戻るかもしれない。
「亜美はどうしたい?」
問いかければ、亜美は美琴さんの服の袖をキュッと握る。
それは、肯定を意味しているわけで。
「分かりました。すぐに父に相談してみます」
勝手にここを出るわけにもいかないからな。



