バタンっと一階の玄関の扉が閉まる音が聞こえた。 …誰だ? 会長や正妻は土日はこの家にいないから、今この家にいるのは俺と亜美だけのはず。 それに、掛けてあるはずの鍵をあっさり開けやがった。 …何者だ? 久しぶりの緊張感の中で考えていると、ふいにシャツがクイッと引っ張られる。 見れば、亜美がどうしたの?という顔で俺を見上げていた。 「何でもない。大丈夫だから」 安心させるように頭を撫でると、亜美がふにゃっと笑う。 …おいおい。 何ドキッとしてんだ、俺。