シャリっとリンゴをかじれば、やっぱり昨日と同じリンゴの甘い果汁が口いっぱいに広がった。
…美味しい。
…だけど、まだ体の震えが収まらない。
『死神』
『生まれて来なければ…』
さっき言われた言葉を思い出して、また涙が溢れそうになる。
ダメ。
泣いちゃダメ。
だって、本当のことじゃない。
私がいなければ、おばあちゃんが私なんかを庇って亡くなったりしなかった。
「っ……」
私がいなければ、おばあちゃんはきっとまだ元気に生きてた。
だから泣いちゃダメ。
私が泣くなんて筋違いだ。
泣きたいのは…本当に泣きたいのは、おばあちゃんなんだから。
グッと涙を必死で耐えていると。
ふわっと暖かいものに身体が包まれた。



