守りたいのはお前だけ




私を抱えたまま部屋に到着すると、綾都はそっとベッドに降ろしてくれた。




「悪い、我慢できなかった。腹減ったろ、今りんご持ってきてやるから」




そう言うと、綾都は冷蔵庫を開けてりんごを取り出して器用に包丁で皮を剥き始めた。




悪いなんて、そんなことない。



むしろ、私がありがとうって。

庇ってくれてありがとうって言わなきゃ。



仕事だからだとしても、助けてもらったことには変わりないのだから。




「…ほら、食えよ」




差し出されたのは、うさぎの形をしたリンゴ。



可愛らしいその形に、少しだけ頬が緩む。