「亜美様」
綾都は繋いでいた手を離すと、私の背中を押した。
亜美様…。
そっか、綾都は私のボディーガードだもんね。
私の前では自然に接しても、祖父達の前ではその任務を全うしなきゃいけない。
仕事だから仕方ないって分かってはいるけど、距離を取られたように感じて、本当に私は1人なんだって心細くなった。
綾都に促されて恐る恐る足を進ませる。
正妻の息子だと思われる眼鏡の男の人の隣に座った。
目の前には豪華な料理が並んでいる。
どうしよう、身体が震えてる。
怖い。
逃げ出したい。
膝の上でギュッと手を握りしめた時だった。



