荷物の整理をしていると、綾都くんが声をかけてきた。
「亜美様……あー…なぁ、聞いていいか?」
コクン、と頷く。
なんだろう?
「敬語使われるのって嫌か?」
え…。
確かに、敬語だと距離を感じて寂しくなるけれど。
嫌ではない。
でも…。
私はコクリと頷いた。
「分かった、じゃあタメ口にする。…声、でねぇの?」
コクリ。
「そっか。声が出るようになったら、俺のことは綾都って呼んで」
綾都って、呼んでもいいんだ…。
男の人を呼び捨てにするのは初めて。
「夕飯まで時間あるな…風呂入っちまえよ」
お風呂…。
コクンと頷いて、着替えを持って脱衣所へ向かう。
日本のお風呂、初めてだ。
服を脱いで入って驚いた。
お風呂がユニットバスではないことにまず驚き、浴槽が中と外にふたつある。
外にあるお風呂…これが日本の露天風呂なんだ…。
外は丁度日が落ちてくる頃で、空がオレンジ色になっていた。
綺麗…。
体を洗い、露天風呂を満喫した後お風呂を出た。
気持ちよかった。
久しぶりに心からゆっくりできた気がする。



