「亜美っ…!!」
いきなり呼ばれて抱きついてきたのは、優しそうな顔をした男の人。
それが父だと分かるのに、数秒かかってしまった。
だって、写真でしか見たことがなかったから。
「ごめんな…ごめんな、亜美。辛かったなぁっ…」
辛かったよ。
でも、何でだろう。
この人の腕は暖かいのに。
唯一の肉親のはずなのに、涙がでないの。
「亜美、お父さんは仕事でこの家にはほとんどいられない…嫌な目に合うこともあるかもしれない」
分かってるよ。
私は愛人の娘だって聞いた。
本妻との間にも子供がいるって知ってる。
「でも安心しなさい、綾都くんが亜美の側についてるから」
コクンと頷くと、『疲れているだろうから、今日はもう休みなさい』と言われ、部屋に案内された。
部屋に入った瞬間、絶句した。
ここは…ホテル?
だって、凄いんだもん。
でも一番驚いたのは、キングサイズのベッド。
ひとつしかないから、これは…2人一緒ってこと?
…どうしよう。
男の人と同じベッドなんて初めて。



