「はい、大丈夫です。亜美様とご一緒の方が護衛もしやすいですし、より心に寄り添えるかと。お心遣い、感謝致します」
幻聴じゃなかったうえに、勝手に返事してんじゃねぇっ!!
「おい、兄…」
「そろそろ亜美様が到着なされる。その前に荷物を部屋に運んで片付けておけ」
「だから、俺は一緒の部屋なんて…」
「つべこべ言ってねぇでさっさとしろ。頭かち割られてぇのか」
……。
実の弟になんて言い草だ。
口調が不良だ。
ヤクザだ。
睨みつけ方が親父とそっくりなとこが血のつながりを感じるな。
…言うこと聞かねぇと、マジで頭かち割られそうだ。
「分かった。時間になったら呼んでくれ」
「あぁ」
はぁ…なんでこんな事に。
男と女が一緒の部屋で心配しないのか、あの社長は。
いや、しないか。
東雲家を信頼して直々に護衛を頼んできたんだから。



