「正志様、ご安心なさって下さい。亜美様が嫌な目に合わないようにと、
だからこそ代々優秀なSPの家系である我々、東雲家にボディーガードを頼まれたのでしょう?」
この社長、正志っていうのか。
つか、東雲家に直々に頼んだ!?
聞いてねぇよ!!
「亜美様のことは、高校生ながら何件もの護衛を任され、将来SPとして活躍が期待される有望な東雲家の者が誠心誠意を持ってお守り致します」
おい、なんかすげぇハードル上げられてねぇか。
それで失敗したらどうすんだ。
そんな事を思いながら兄貴を睨みつけていると、挨拶をしろと目で訴えられた。
言われなくても、ちゃんとやるっつーの。
「東雲 綾都です。まだ未熟なところもありますが、亜美様は必ずこの私がお守り致します」
そう言ってお辞儀をし顔をあげると、社長が微笑んでいるのが目に入った。
「君は随分カッコいい顔をしているんだね。君みたいな人を、イケメンって言うんだろうね」
……んん?
「君なら、亜美も喜ぶかもしれないね。亜美には今まで辛い思いばかりさせてきた。それはきっとこれからも…綾都くん、亜美のことをよろしく頼むよ」
いや、イケメンだからって喜ぶとは限らねぇよ。
まぁ、ほわーんとしてるけど優しい人みたいで安心した。
これが会長のように頑固で人でなしな人間だったらぶん殴ってたところだ。
「さて、綾都くんの部屋なんだけれど亜美と一緒でいいよね」
……は?
今、なんて言った?
一緒の部屋って言ったか?
幻聴…。



