あの犯人は強欲な上に思慮深い。
もっと金を取るため、そして証拠隠滅のために戻ってくるに違いない。
そう思って被害にあった現場に戻ると、やっぱり犯人の姿がそこにはあった。
犯人は現場に戻るってか。
「おい、その辺で終わりにしろよ」
「っ!!だ、誰だ!!」
誰、ね。
「ただの男子高校生」
「ふ、ふざけるなぁっ!!」
別にふざけてないんだけど。
本当のこと言っただけだ。
犯人は包丁を持って俺に襲いかかってくる。
…遅ぇ。
普段から親父に鍛えられてる俺からしてみれば、大抵の人間の動きなんてスローに見える。
振りかざしてきた包丁をスルリとかわすのと同時に、包丁を持つ犯人の右手を蹴り飛ばす。
そのまま間も与えずに犯人の腕を捩じり上げ、床に押し付けた。
「いっ、いだだだだだだ!!!!」
「お前に殺された人は倍以上に痛くて悲しい思いしてんだよ。このまま腕の骨折ってやりてぇところだ」
それから兄貴に電話をして、無事犯人は連行された。



