守りたいのはお前だけ




「誰か待ってんのか?」


「待ってるっていうか、お嬢様が買い物に付き合ってくれっていうもんで」



買い物にまで付き合うのか。

…まぁ、ボディーガードなんだから当然か。



「そろそろ来るはず……あ、来た」



来た?



海都の目線の先を追っていくと、ふわふわとした髪をした女がこっちに近づいて来るのが分かった。


は…?

あれがお嬢様か?


え、マジで?


遠くからでも目を引くほどの容姿をしたその女は、海都の姿を見つけて顔を明るくさせたが、その隣にいる俺の姿を見た瞬間、その場に立ち止まってしまった。



あー、極度の男嫌いだっけ?

女に怖がられるとか、俺人生で初めてなんだけど。



すると、海都がその女に向かって声をかける。



「みりい、大丈夫だから。おいで」



…おい、なんだその物凄く優しい顔と声は。

見たことも聞いたこともねぇぞ。



初めて見る海都の姿に困惑しているうちに、その女は恐る恐るこっちに歩いてきていた。


そして、近くまで来るとものすごい勢いで海都の背に隠れてシャツをギュッと握る姿を見て、本当に男が怖いのだと思った。



つか、俺から見てもすっげぇ可愛い顔してんだな。

背も小せぇし。



「みりい、こいつ俺の従兄弟の綾都」

「い、従兄弟…なんだ」



すると、ひょこっと少しだけ顔を覗かせ



「よ、吉野みりい、です。よろしくお願いします」


と、少し震えた声で挨拶をし、また海都の背に隠れた。



…なんだそれ。

すげぇ男心くすぐられるんだけど。