「泣くなよ。大丈夫だって言ったろ?」



ハハッと笑いながら言う綾都に、コクコクと頷く。


しばらく抱きしめられていると震えが止まって、やっぱり綾都じゃなきゃダメなんだと思った。



その後、一通り買い物を楽しんでお開きになった。


色々あったけど、すごく楽しい1日だったなぁ。



「絶対また遊ぼうね!」



そう言って帰って行くみりいちゃんと海都くんに手を振った。



「俺たちも帰るぞ」



差し出された手に自分の手を重ねる。



好き。


すごく好き。


いつか、自分の言葉で伝えたい。


文字じゃなくて、ちゃんと自分の口から伝えたい。



今まではこのまま声が出なくてもいいと思ってた。


言葉にしても、もう返事をくれる人はいないと思ってたから。


でも今日はじめて、声が欲しいと思ったんだ。


これも全部、綾都のおかげ。



「どうした?」



ずっと綾都を見つめていたら、私の視線に気づいた綾都が首を傾げる。



なんでもないよ、と首を横に振れば、綾都はもう一度前を向いた。



その横顔に、気づかれないように口パクで『好き』と呟いて、私繋がれた手をぎゅっと握った。