守りたいのはお前だけ




「兄貴、教えてくれ。亜美に何があったんだよ」


「…まだ言えない、お前には」



俺にはって…。


なんで…。



「お前の気持ちは分かってる。お前がずっと、亜美様を心配してることも。でも、今はまだお前には頼れない。


もう護衛対象ではない相手の元に勝手に行くことはできないからな」



「っ!!」




…そうだ。


もう俺は、何の関わりもない他人だ。



それに、ただの護衛人が相手のプライベートにまで踏み込むことは許されない。



…俺にできることは、何もない。




「心配するな。もうこれ以上は危険だと判断したらお前を頼ると美琴様から仰せつかっている。……今は、待つしかない」



「っ…」




なんだよ、危険って。


何があったんだよ。


危険だと思ったらって…じゃあ危険になる前に俺を呼んでくれよっ…!!



くそっ…。

くそっ!

くそっ!!



「亜美…」



俺はこんなにも無力だった。


側に行きたいのに。

守ってやりたいのに。


そんな力もないほど、俺は無力だったんだ。