「それで、亜美様は眠れたのか」 「まぁな。よく分からねぇけど、人の体温があると安心するんだろ。ひとりぼっちになっちまったから、尚更」 つか、それがどうしたんだ? 今更そんなこと聞いてくるとか。 「兄貴?」 「おかしいな…それなら……」 ん? おかしい?何がおかしいんだよ? ぶつぶつと1人で考え込んでいる兄貴を見て、俺はハッとした。 …もしかして。 「兄貴」 「ん?」 「…亜美がどうかしたのか」 「……」 予想が的中したんだろう。 兄貴の顔が一瞬だけ強張ったのを、俺は見逃さなかった。