するとその時、ヒールの先にパッと自分自身の影が現れた。
辺りが急に明るくなったのだ。
上を見ると、黒い空は光で打ち消されている。
それに気付いたと同時に、人々からワッと歓声が沸き起こった。
みんな笑顔で、幸せそうな顔で、指を差したり写真を撮ったり。
その視線の先は、広場の中央へ注がれている。
つられるように視線を巡らせると、さっきまでぽっかりと暗闇が広がっていたところに、光の洪水が姿を現していた。
地上よりはるか上のほうに、堂々とした星が胸を張っている、それは———。
キラキラとした光が眩しくて、飲み込まれてしまいそうで。
涙が溢れた。
頬を伝う雫は、色とりどりの電飾によって虹色に染まった。
ああ、そうか。今日は。
時々思い出す、だなんてとんでもない。
今でもこんなに忘れられないのに。
たまたまここに辿り着いたような気がしていたけど、心の奥のずっとずっと深いところではきっと待っていたんだ。
10年前のクリスマスの約束を。


