「うん、ごめんって!
 実は……
 ちょっと、色々あって…」




少し濁らせて言うと、
そこはさすが親友。



なにか察してみてくれたようで、




「…優奈。
 屋上、いこ?」




汐織が、
あたしに若干上目遣いで聞いてくる。



二人じゃない人なら
解らないくらいの
わずかな角度でうなずいて、
あたしたちは教室を後にした。







「…どしたの、優奈」


「なにがあった?」



汐織、砂織の順で、
あたしの聞いてくる。



「実は……」





と、前置きしてあたしは、



ダイキにフラれたこと。

それから、
晴一との出会い。



それぞれを、
事細かに説明した。





「…そんな事があったの…」


「ごめんねぇ、優奈ぁ!
 そういう時に限って、
 汐織たち旅行で…」




目をうるうるさせながら、
汐織はあたしに抱きついてきた。




「ううん、大丈夫だったから。
 晴一のお陰で、結構
 今スッキリしてたりするし♪」



コレは、本音。


強がってるとか
そういうんじゃなくって、
本当に、そう思ってる。



だって実際、
観覧車の下に居た時は
ありまくりだった未練が、
今は少しの形跡だけを残して、
消えてしまっている。




「…でも、面白い人だね」



にかっと笑って、
砂織は言う。



「…ぇ、誰が?」


「そのハルイチって人だよ!」


「…そうかな…?」




んまぁ、
面白い奴っっちゃそうだけど。


っていうか、
むしろ相当変だけど。





-‐でも、




「あたしは嫌いじゃないな…」


「「え?」」



小さな声で呟くと
砂織と詩織が、
同時に聞き返す。





「…ううん」




首を振って、
あたしは空を見上げた。










「--なんでもないよ」