「なんでそんな上手いのに、
インディーズなの?
メジャーデビューすればいいじゃん」
「いろいろ事情があんだよ~
……ってかさ」
くるりとこちらをむいて、晴一は続ける。
あたしが泣いているのは、
気付いてないのか、
気付かないふりしてるのか。
「この唄、さっきの俺たちじゃん?」
「…ぇ、さっき……?」
さっきって……
-‐ぁあ。
晴一があたしに、声掛けた時か。
「でもさ、唄とは違って
あたしたち見知らぬ他人じゃん。」
「まぁそれはそれで^^」
「しかも、
晴一は傘持ってたし」
「……お前な。」
せっかくなんか、
運命の出会い的な
感じだったのにさ~
などとぼやきながら、
晴一はギターを置く。
「運命の出会い」…?
それを言うなら、
偶然でしょ?
それか、
晴一の気まぐれ。
あたしたちの出会いが、
「運命」……?
思考を巡らせていると、
ぐぅぅぅぅ~~
…と、大きな音がした。
「…なぁ、ユウ」
「なに」
「飯食いにいかね?」
「ぇえ?この雨の中!?」
「だって腹減った…///」
さっきの音は、
晴一のお腹の音(笑
「う~…」
とうなっている晴一の顔は、
トマトみたいな、
イチゴみたいな、
-‐赤。
