ついに口を開いたと思えば、甘いやつってなに? 「玉子焼きは甘いのが好きです」 「へ?玉子焼き……」 「それから、唐揚げが好きです」 「…唐揚げ」 「紫乃先輩!」 抱きしめるのをやめたかと思えば、いきなり私の体を反転させる。 両腕をつかまれ、至近距離で向き合う。 「俺頑張るから、紫乃先輩のお弁当が食べたいです!」 目尻を下げて笑う彼は、とても運動部らしくない、やわらかな表情をする。