「…俺は口説いてほしいですけど、紫乃先輩に」



何それ、口説いてほしいなんて普通言う?

しかも女から男に。



意味わかんないのに、なのに、私の心をドキドキさせる。

そんなこと言わないでよ。




「しないわよっ」


冷静を装って答える。




「そうですね、口説かなくても俺はすでに落ちていますし」



「っっ!?」





なんて口説いてくる立花君は、いつものニコニコ笑顔だった。