だから私は笑って、早く行こうと促した。 「花火始まっちゃうよ?」 「そうですね」 一息ついて立花君も笑って答える。 立花君が先に階段を登っていく。 一段違いで横に歩き、私の手すりを掴んでいない逆の手を握ってくれる。 そしてゆっくりと私に合わせて進む。 自然としてくれるその気遣いに私はキュンとした。 階段が終わると目の前に扉が現れた。 たぶん屋上の入口だ。