距離0センチ




歩いているとだんだん屋台も無くなってきた。


次第に普通の道に出てきて、帰るの!?とも一瞬思った。




けど、すぐに立花君の足は止まった。





「ここです」


「……ここ?」



明かりもついてない、ちょっと廃れた小さなビルみたいな建物。


何の建物だろう?

入れるの?



「階段で……でも、そんなに段差高くないんで歩きにくくはないと思うんですけど……」



浴衣姿の私を見て、不安そうに尋ねてくる。



「ぜんぜん平気だよ」


「すみません、来る前に確認するべきでした」



申し訳なさそうな立花君だけど、今ちゃんと心配して聞いてくれてるから、私はそれだけで十分嬉しい。