「姉さんのことは気にしなくていいから」
「あ、いや、うん」
ぎくしゃく話すあかりにイラっとくる。
「なんでそんなそっけないわけ」
「そんなこと…っ」
あかりが顔をあげたとき、バスが大きく揺れた。
「ぎゃっ」
とっさにあかりが僕の服をつかみながら、扉に寄りかかるようにぶつかる。
僕もそれに引っ張られて、扉に手をついた。
「あぶねー」
・・・・顔近い!
みるみるうちにあかりの顔が真っ赤になる。
「だあーーっっっ!!」
叫ぶあかりの口をふさぐ。
「あの、あかりさん、お静かに」
そう言うとあかりはぐっと目を閉じて頷く。
なに、その顔…意地悪したくなる。
「何照れてんの?」
あかりは慌てて口をパクパクさせながら、うつむいて、それからゆっくりと話す。
「だって、なんか、はじめが…いつもと違うし」
え…なにこれ、
にやける。
「惚れちゃった?」
「ば…っ!!!慣れないだけだし!ばか!」
ふんっと外を向くあかりの耳はまだ赤くて。
愛おしくて、おれは遊園地につくまでその耳を眺めてた。