「ちょっと来て!!!!」

私ははじめの腕をひっぱり、屋上に連れて行く。

「また屋上かよ、あんたって本当ワンパターンだよな」

は…?

「で、何?姉さんには黙ってくれってことだろ?」

なんて憎たらしい話し方なんだろうか。

「ていうか、あんた何なの!?急にキスしてきて!!そんで彼女とかいって!私を脅すようなことして…」


「ちょっと待て待て。あかりさん?僕は、昨日バイトで帰ってしまった姉さんと違って、あんたをずーっと見てたんだよ?お礼しか言われる筋合いないね!おまけに起きたあんたは姉さんと勘違いして、優しいねなんてほざくもんだから姉さんの面目を守るため黙っとこうと思ってたわけよ、そしたら、好きなんていうだろ?こっちのほうが困るっての」

ペラペラと話すはじめに私は言葉がでない。私が馬鹿だった…ごめんなさい…しか思い浮かばない…

「いや待って!だからってキスする必要はないでしょ!」


「必要はあるよ」

はじめが近づき、私をフェンスに追いやる。

「俺を好きになりなよ」

色白で、目の上まである切り揃えられた髪、薄い唇がにっと不敵に笑う。


胸が高鳴ってしまう、こんな、惚れた顔に近づかれたら…私…

「それともあんた、レズなの?」


前言撤回。

私は、そのとんでもなく失礼な男に平手打ちをし、教室へと戻った。