ミーンミンミンミーン、ミーンミンミーン……

「んあ…あちい……」


今日は7月の日曜。いつもより30分程遅れて起きた空島悟は起きてすぐさまTシャツを脱いだ。

もうちょっと寝たかったのに、蝉と太陽に起こされた。


「あっちー……」
何回言ったか分からないその言葉をぶつぶつ言いながら、リビングに降りて行く。







リビングに着くと、もう母さんが朝食を用意してくれていた。
「あら、早いわね。まだごはん出来てないんだけど。」
「ん、うん…」



俺は、たぶん1キロはあるであろう自分の瞼を開けるので精一杯だった。そりゃ朝の7時だもんな。





とりあえず朝食を済ませ、着替えて…とダラダラ用意していると、

タララーラーラー、ラララーラーラ、タララー……

電話だ。

昔からディズニー好きな父さんが俺の産まれた時からの着信音。イッツアスモールワールドだっけな…

まあ、とにかく俺はなんとなくこれが気に入らなかった。


にしてもまだ8時。早いのに誰だよ。
でも昔から時間に関係なく電話してくるのは大体……

(あいつだな)


「はい」


「……」


「もしもーし…間違い電話ですか?」



「「おまえの大切なジェニーは預かった。」」

いや誰だよジェニーって。


「「大事な犬を取り返したければ100万用意しろ。」」

いやだからうち犬飼ってないし。


「「さあどうする。期限は明日のあ……」」

ガチャ。

よし、任務完了。


タララーラーラー、ラララーラーラー、タララー……

「もしも──」


「「おい切んなよ~」」


「おまえのやることくらい分かってるって。」

そう、これが川陽将輝の“電話の仕方“らしい。

まあ親友だし、もう分かってることだけど。

「「でもノってくれたっていいじゃんかー」」


「はいはい、それで?何だよこんな早くに」


「「あー…今からいつもの場所来れるか?」」






なぜだろうか。


何かを焦るように鳴いている蝉は、まだ煩い。










いつも眩しい太陽が、今日はやたら熱さを増してギラギラしていた。