「なんで俺がお前の教科書取るのに付いてこなきゃなんねえんだよ…」
「先生はか弱い女の子を夜の学校に一人残して帰るんですか!」
先生を無理やり引っ張って一緒に教室まで付いてきてもらった。
あたしは、今机の中から教科書を取っていて先生は前のドアに寄り掛かっている。
「か弱い女の子なんて、俺の視界にはないけど」
「はぁ…、これだから女遊びが激しかった人は…」
若干ひどいことを言ってるのに、先生は気づいていない。
元ヤンキーは感覚が違うのだろうか。
「だから、ちげえって。
ていうか、お前だってモテるだろ。よく聞くぞ、美人だーとか言われてるの」
「………まぁ告白されたことがない、って言ったらうそになりますけど」
だからといって、そんなにモテモテだったわけでもない。
「…昔、かわいい、美人だね、って言われててそれが原因でいじめられたんです。
クラスで1番気の強い女の子に。ハブられてぼっちにされて、雑巾とか投げつけられたりして」
今でも鮮明に覚えてる。いきなりクラスのみんながあたしから離れていったこと。
憐れむような目であたしをみるみんなを。
「それまでは嬉しかった言葉も、それからは恐怖でしかなくなりました。
言われる度に、またあの子に何かされるかもしれない、って」
今考えてみれば、そんなに怖がることでもなかったのかもしれない。
くだらない、ただの子供の遊びの延長に過ぎなかった。
だけど、あの頃のあたしは本気で受け止めてしまった。

