ホタルと夏の空



…って、あたしは誰に向かってバカって言ってんだか。





先生に見つからないうちに早く教科書取ってぱぱっと帰ろう。






そう思って、歩くスピードを速めてもまた元に戻る。





理由は……怖いからっ…!







「大体さ、みんな薄情なんだよ!



誰かひとりでも着いてきてくれればいいのに!」







怖すぎて、誰もいないだだっ広い廊下で独り言を大声で言い続ける。





傍から見たら、すごく変な人だ。歩き方も含めて。







「肝試し感覚で来てくれてもいいじゃん!そしたら楽しめるじゃん!」






こうなったら、ヤケクソだ。叫びまくればいいんだ。







「共感してくれる人!いますか!」





「するわけねーだろ、ばーか」





「ひえぇっ!おばけっ!本気でむり、アーメンー!!」








いきなり後ろから声が聞こえて、腰が抜けて膝から崩れ落ちた。





ビックリしすぎて、訳わかんないことを言ってる。







「落ち着け、工藤。俺だ」





「む、無理です!あたしはオレオレ詐欺にはひっかかりませんから!」





「はっ?何言ってんだよ、ほら、こっち向け」






階段の踊り場の角で、誰かがしゃがみこんでるあたしの頭をポンポンと叩いた。





恐る恐る、顔を上げてみると






「…げっ…水瀬先生………」