水瀬先生と初めてまともに話した、あの日から数週間が経った。






あたしは、先生を目で追うようになった。





人がいっぱい集まる朝礼の時に必ず先生を探す。





目が合った時、微笑むと先生は微笑み返してくれる時もあるし





『前を向け』って口パクしてくる時もある。







「水瀬先生ってかっこよくない?」





「先生ってサッカー部の顧問だからもしかしたらサッカー上手いのかな?」





「あの顔でサッカーとかやられたらまじでおわり!惚れる!」








ちょっと前までは、そんな会話が聞こえてきても全く気にしなかったけど






今はちがう。すごく気にする。






改めて思うけど、水瀬先生の人気は凄まじい。






水野くんと同じくらい学年、いや学校中の女の子からの人気者。





そのことに、なんともいえない複雑な思いを感じていることはまだ誰にもいっていない。








「ねぇ、美桜菜摘!今日みんなでカラオケ行かない?」





「え、行きたい!行こう!」







放課後、そんな軽いノリで同じクラスの茜、桃果、茉由にカラオケに誘われた。






同じクラスで、よくお昼を食べてるメンバー。






「菜摘も行くよね?」





「うん、行けるよ。特に予定ないし」





「よしっ、じゃあ決定!」







『3時に駅前集合』。





制服だといろいろ動きづらいから私服に着替えてから集合することになった。






今日は、運良く午前授業だったから帰って準備する時間は十分にあった。