「良いから早く座れ、続き始めるから」
「はーい…」
どうしてあたし、先生の顔を見つめた時胸がドキドキしたんだろう…。
顔も暑くなって、恥ずかしいと思った。
こんなこと思うのなんて初めて。
…距離が近かったからだよね、きっと。
けど…なんでだろう。
なんであたしは、先生に、ちょっと気まずそうにしてほしいと思ってるんだろう。
「終わったー!」
「予想以上だったよ…」
時刻は、6時15分。7時より全然早く終わった!
テンションが上がってるあたしと、ため息をついてる先生。
気分の差が激しい…。
「先生、ありがとう!」
「良かったよ、7時までに終わって」
そう言って先生も、少し笑ってくれた。
ため息ついてたからもしかしたら嫌だったのかな…とか思ったけど
笑ってくれて、ちょっと安心した。
「じゃあ職員室に出してきます!」
「持ってってやるよ、今から戻るし」
あたしが椅子から立ち上がった。先生もすぐあとに立ち上がる。
「いえ、自分で持っていきます。小太りじいさんに見せつけてやるんです。
『もう終わりましたよ』って感じ悪く!」

