先生は、小太りじいさんと聞いてゲラゲラと笑ってる。
『ネーミングセンス皆無だな』って。
その笑顔はとても爽やかだった。横顔も綺麗で。
切れ長の二重、長いまつげ、筋のスッと通った鼻、それに小顔。醤油顔?ってやつ。
黒髪で、背が高くて。爽やかイケメンって感じ。
話してると女の子たちが、カッコイイっていう理由がよく分かる。
改まって話したのはほぼ初めてなのに、全然そんな気はしない。
「んで、何がわからないんだ?」
「…全部です…」
「はっ?全部?」
教室に入って、椅子に座ってプリントに取り掛かった。
あたしが全部わからないと言ったら、先生は驚いていた。
「足し算、引き算、かけ算、割り算はできます。でもあとは本気でできません…」
自慢できるくらいできない。教えて貰っても参考書を読んでも
ビックリするくらいできない。
「お前それでよく受験受かったな」
「自分でもそう思います…」
数学が足を引っ張ってる、って中学の時塾の先生に何100回も言われた。

