片付けがひと通り終わった俺らは、顧問の話を聞いたあと荷物を持って会場の外に出る。

「遥太!」

名前を呼ばれて振り返ると葉月がいた。

「ん?」

なにも気づいていないかのようにふるまう。
葉月は恥ずかしそうにうつむいてから「来て」と聞こえるか聞こえないかの小さい声で俺にいう。
黙って俺は葉月に従ってついていく。






人目につかない建物の裏につくと葉月は振り返って服をぎゅっと握る。
そして決心したのか俺に近づいてくる。

「遥太…好きです!!私と、付き合ってください!!!」

葉月は言い終わるときゅっと目をつむって下を向く。
やっぱり。

俺の答えは決まっている。

中学のころの俺だったら即OKだっただろう。
でももう、正直に杏奈にぶつかりたいんだ。
だから……


「ごめん。」

「そ、そうだよね……ごめんね」

「いや、謝らないで?葉月のことは好きだよ。でもチームメイトとしてだ。だからこれからも一緒にバスケがんばろうな!」

「もう、遥太はずるいなぁ。……ぜーったい遥太よりうまくなってやる!」

ニッと歯を出して笑う葉月はきっと無理しているのだろう。

「遥太のこと好き。忘れるのには時間がかかるかもだけど、これからも仲良くしてよ!」

「おう!まかせとけ!」

ごめんな、葉月。
俺には大切なやつがいるんだ。

「じゃ、アタシ行くね!」

「気をつけて帰れよ!」

「はいはーい♪」




葉月はすごいよな。
俺はチキって告れないでいるのに、本当にすごい。
これから俺はがんばって杏奈に告るよ。
大好きだって伝えなくちゃ。