「川井さん、ありがとう。煌大くんにもありがとうと伝えてほしい。」

「はい「聞こえてますよ」

「「え?」」

煌大くんの発言に驚く私と橋本さん。

「ずっと聞こえてました。見えてもいます。俺のおばあちゃんは田辺 香織です。今も幸せに一生懸命生きています。
橋本さんの話はよく聞いていました。“お前も優しい笑顔を忘れるなよ”と毎回のようにおばあちゃんは言っていました。おばあちゃんは今でも橋本さんのことを大切に思っていますよ。」

「そうか…そうだったのか。ありがとう煌大くん。香織の孫に会えるなんて幸せだ。きっと僕はこの手紙を読んでから成仏したかったんだと思う。久しぶりに眠いと感じるよ。ありがとう、川井さん。煌大くん。そして、香織…
川井さん、恋愛の方もがんばってね。」


そう言った橋本さんはスッと消えていった。

「って、煌大くん、見えてたの!?」

「あぁ、うん。ここに来た本当の目的は橋本だったし。ばあちゃんが今日は橋本さんの誕生日なんだって言ってたから。」

「そうだったの!?あの!橋本さん!!お誕生日おめでとうございまーす!!!」

初めて知った事実に驚きながら橋本さんに届くように大声で祝福を伝える。

「杏奈ちゃん、今日はもうサボろうか。あと2時間くらいだし。」

「あぁ、ほんとだ。」

時計の針はいつの間にか2時過ぎを指していた。




グゥ〜



「あ」

「杏奈ちゃんはいつもお腹なってるね」

「そんなことないもん!」

「そっか、ハハハ」

「お昼ご飯食べる!」

仕事の後のご飯は最高!
なんて、仕事なんておおげさだけど。

私も……

踏み出さなきゃ。