今日はなんかいろいろあったな。

橋本さんのおかげで遥太のこと忘れてたし。






「はぁ。」

探し物ってなんだろう。------














「…好きだよ……ふぇっ…なんで…」


誰の声…?
声を追って歩く。

……旧校舎の図書室?

図書室に入ると女の子が泣いている。
かわいい。
頭の高い位置にしばられた髪が悲しそうに揺れている。この制服は私の通っている高校だ。
なんでだろう……


「一緒に読もうって…約束したじゃんか……ひっく…」


その本……





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ガバッ


「……朝?」

時計を見るともうすぐ6時をさそうとしている。
昨日はいつの間にか寝ていたようだ。

夢の女の子……




誰だったのだろう。

橋本さんに聞いてみよう。
















「橋本さん!!!」

「あれ?朝だけど、どうしたの?」

私は急いで準備をしていつもはこんなにはやく来ないのにダッシュで学校に来た。
その理由はもちろん橋本さんに夢の女の子のことを聞くため。

「ここらへんでポニーテールしてる女の子って覚えてませんか?」

夢でみた女の子と同じ高さにグーに握った手を頭に当てる。
が、橋本さんはピンときてないらしい。
首をかしげている。

「知らないな。」

「そう、ですか」

夢は途中で途切れてしまった。
女の子が持っていた本がどんなものなのかもみえなかった。

関係ないのかな…?

でも気になる。

私は急いで昨日と同じ場所に広げてある分厚い本をパラパラとめくる。

「ちょっと、どうしたんだい?」

橋本さんは私の異様な行動に困惑している。
私はおかまいなしに本をさぐる。

「ない、か。」

期待していたものはなにもなかった。
でもなにかはつかんだような気がした。

「あの、他に興味が惹かれる本はありませんか!?」

食い気味に聞く私に驚きながら「うーん」と考えながら本棚を見に行く橋本さん。
それを私は追いかける。
真剣に本を選ぶ橋本さんは「あっ!」と声を上げる。

「これ、読みたい。っていうか、読まなくちゃいけない気がする。」

「読みましょう!!!」

「でもまずあっちを読み終わりたい。」

指さす方向には期待はずれだった分厚い本。
でも私は、

「はい!読みましょう!どっちも!」

これでなにかがわかる気がした。
今日の授業は全て休むことにした。荷物も全部持ってきたからお弁当もある。
今日は一日中橋本さんのために使うことにするのだ。


ガラガラ


「ひっ!」

図書室のドアが開く音が聞こえた。
橋本さん隠れてー!

「あれ?杏奈ちゃん?」

「煌大くん!?」

なんとそこには煌大くんの姿が。

「先生がここなら生徒が読まなさそうな難しい本がたくさんあるって言ってたからさ。」

「あ、そうなんだ。」

「へぇ、彼が煌大くん……確かに僕に似ているね」

「ちょっ!橋本さん出てきちゃだめでしょ!」

いきなり橋本さんがしゃべりだしたので焦る私。煌大くんに気づかれた…?

「どうしたの?ひとりでしゃべって」

「へ?」

どうやら煌大くんには見えていない様子。
よかった!

「彼にも手伝ってほしい。人手が多い方が助かる。あ、自分勝手だね」

「橋本さん……いえ!頼んでみます!」

ずっとひとりだった橋本さんを助けたい!

「煌大くん、あのね、……」

煌大くんに橋本さんのことを全て説明して手伝ってもらえないか頼んでみる。

「そんなことが……杏奈ちゃんには助けてもらってるし、協力したい。」

「ありがとう!」

「なにをすればいいかな?」

「えっと…私は今日の授業に出ないつもり。今日はここでページめくりをするの。煌大くんは授業行くよね?」

「いや、俺もここで今日は手伝うよ。だから今日で解決させよう!」

「うん!ありがとう!」