「起きて!遥太!!遅刻する!」

「……今何時?」

「7時半!!!」

「うーーーん……まだ寝れる。」

「寝れない!!!8時に家出なきゃ間に合わないんだってば!おーきーてーーー!」


バサッ


「さむっ!」

「はよ起きろ!」

「起きてんじゃん、布団返せ」

「はぁ、私まで遅刻するんだけど!」

「じゃあひとりで行けば?」

「うっさい!起きろ!!!」

「はいはい。」

やっと起きた。はぁ、朝から疲れる。
「杏奈ー!はやくしてくんね?遅刻するんだけど?」

「あーもぉ、あんたのせいで疲れたんですけど。って!ちょっ、待ってよー!!!」




「ふぅー!気持ちいい朝だー!な、杏奈!」

なにが気持ちいいだよ。こっちはあんたのせいでげっそりだわ。

「おーい、杏奈、生きてる?死んだ?」

「なんで寝起き悪いくせにそんなハイテンションなのよ」

「今日は入学式だからな!かわいいこいっぱい見つけなければいけないのさ!」

「あーはいはい。がんばってね」

「冷たいなぁ。俺に彼女ができたらこーやって一緒に登校できなくなるんだぞー?それでもいいのか?」

「そっちのほうが気が楽だわ」

「塩対応すぎだろー」

そう言って遥太は一瞬寂しそうな顔をした。
「もう高校生だねぇ」

「なにばーさんみたいなこと言ってんだ?」

「うっさいわ!あんたより歳とってないと思うけどー?」

「はぁー?いっつも腰いてぇだの膝がいてぇだの言ってんだろ。杏奈はもうおばあちゃんなのかと思ってたぜ?」

「バカにして!あーもう!かっこいい彼氏つくってやるー!」

「あーはいはい。吠えてろバカ犬」

「遥太はいーっつも私のことバカにして、毎日のように朝起こしてくれてるのは誰?課題手伝ってくれてるのは誰?」

「はいはい、ありがとーございますー」

「なにその棒読み!」

「こんな男みたいな杏奈のこともらってくれる物好きいねーだろ」

「そのままあんたに返すよ!」

ほんとは遥太のことがずっと好きだった。でも今まで何もなかったし、遥太はただの幼なじみだと思ってるってわかってる。

今まで告白した事はなかった。いや、できなかったのかもしれない。

この関係が壊れるのがいやなのかもね。

「俺らも華の高校生だな!見ろ!」

「高校きれいだね!新しいもんね〜」

「新しいけど設備最高!あー!楽しみ!」

「遥太、どんだけよ、。」

呆れ気味に笑ってしまった。こんな無邪気な顔を見せるのは今までもこれからも私がいい。

「杏奈はやくしろって!遅れっぞー!?」

「はいはい今行きますよー!」

遥太のことを考えていたら先に行ってしまったようだ。成長するにつれてどんどん好きな気持ちが膨らんでもうどうしようもなくなっている。