「だるい?」


「ちょっとだけ」


「めまいは?」


「ないよ」


「そっかわかった。
ちょっと診察と検査しようか」


そう言われた。


今の私だと、微熱でも危ないのかな?


そう考えた。


「沙奈立てるか?」


「はい」


そう言って、私は布団から起き上がって、立とうとした。


でも、


ポスン


舞い戻ってしまった。


「沙奈車椅子使おう」


「嫌だ!立てる!」


私は、そう言ってまた立とうとした。


でもまた、


ポスン


舞い戻ってしまった。


なんで?


なんで立てないの?


本当に、私は死ぬんだ。


そう思い知らされた。


「沙奈」


「嫌だ!自分で立てる!
自分で立つの!」


先生の言葉なんか聞かずに、ずーっと立つ練習をした。


でも何回やっても、舞い戻ってしまう。


その時、


ガラガラ


誰かが、病室に入ってきた。


「沙奈?」


玲だった。


「玲くん」


「どうかしたの?」


玲は、私の頭を撫でながら、聞いてきた。


「……立てない」


「立ちたいのに、立てないの?」


「……うん」


「じゃあ俺が、支えてあげるから、たってご覧」


玲にそう言われて、たってみた。


舞い戻りそうになった。


けど。


玲が受け止めてくれた。


「ちょっとだけ歩いてみて、支えてる手をどかすから、それで立てたら、そのまま、診察しよ?」


玲の言葉にびっくりした。


診察ってこと言ってないのに。


「よしちょっと歩いてみて?」


「……うん」


私は足を動かした。