静かな店内に
鳴り響くジャズ。

素敵な空間だった。



『嫌な事は忘れちゃいましょ』



出されたのはモヒートだった。

爽やかなミントの香り。

心を落ち着かせてくれた。



『実はこのミント
店の裏で栽培してて
摘みたてをおだししてるんです』



なるほど 通りで匂いが。
モヒートの匂いをまた嗅ぐ。



「あの えっと…」



なんて呼んだらいいのか
わからなくてもじもじしてると



『碧でいいですよ?』



と笑った。



「碧さん
今日はありがとうございます」



頭を下げると
碧さんは慌てて飛び出てきて



『やめてくださいよ
僕はただ 人としてすべき事を
したまでなんで…』



また困ったように笑った。



「ふふっ 優しいですね。
またこの店に来ます。
今度は 泣きませんよ」



ふふっと笑うと碧さんも笑った



『またのご来店 お待ちしてます』



モヒート代を払おうとしたら
断られてしまった。



今度来た時に


と。



私はすっきりした気分で家に帰った