時計の針が二回転した翌日。


いくら嬉しいことがあっても1日で調子が戻っている王子様は、憂うつな気分でした。


それでもいつもよりちょっとはましな方です。


何たっていつもは起きた瞬間自殺に走るほど狂気じみているのですから。


雨は止んですっかり晴れの朝。


病院の庭では、無数の水溜まりができています。


今なら川の水位が上がって沈みやすそうだな。


とは言え少し潔癖症な王子様には、雨の後の泥水川に入る勇気はありません。


仕方なく大人しく、別の方法を考えるのでした。


思案中のその時です。


自分病室のドアが開きました。
今度はノック済みです。


邪魔をされて多少イライラしている王子様。


額に青筋を立てて、ドアを開けた看護婦を睨み付けます。

蜘蛛嫌いな看護婦。

王子様も同じくらい彼女が嫌い。

「お薬の時間ですよ。」


袋にまとめられた、鮮やかな医薬品。

それを受け取りながら、王子様は尋ねます。

「前頼んでた毒入れてくれた?」

彼女は多少引きながら、そんなもの入れるわけないでしょう、と答えました


「いい加減あんたは自殺のことなんか考えないで、有意義な時間を送りなさいよ。毎日毎日迷惑かけて、皆困ってるの知ってる?」

そしてちゃんと飲みなさいよ、と水を乱暴に置かれました。


彼女が退出してもなお、王子様は考えることをやめませんでした。


水の中に薬を入れて、溶ける様子を見る。


看護婦の言葉は右から左へ流れたのでした。