翌日、大雨が降りました。



雷に撃たれたら全てご破算



そう王子様が思を馳せていた時です。



ドアがノック無しに開きました。



王子様はとうとう病院に殺人鬼が迷いこんだと勘違い。



ワクワクしながらドアの方を向きました。



しかしそこにいたのは殺気を目に宿した人ではなく、
とても可愛らしい少女がいました。



少女は王子様を見て呆然としています。



まるで自分の部屋に変質者がいるかのように。




王子様は少女に話しかけました。




「何?ここ俺の部屋なんだけど。」




すると少女は溜め息をつきました。



一体何の溜め息なのでしょうか?




王子様は少女に近づくと、少女はぼやきます。




「また間違えちゃった。」



王子様は尋ねました。



「迷ったの?」



少女は首を振ります。



「忘れたの。何号室か。」



「名前は?」



「忘れちゃった。」



王子様は困り果てました。




この子はどうかしてる。




自分の名前を忘れる人なんて、会うのは人生で初めてです。




自分のことを棚に上げ、彼女を変わり者だと思いました。




「暇だから探すの手伝うよ。」




自分を大事にしないけれど他人は大事にしたい王子様。




どれだけ人が苦手でも、昔の癖で手を伸ばしてしまうのでした。