「おい、瀬崎!放課後、集まりだからな〜」

「はい…」


先生があくびをしながら、教室を出て行く。

集まりって何?!

何するの?!
 
今まで、あたし、そういうのと関係ない人生を歩んできたから…わかんないよ!


「ていうか…芽衣!相手、わかってる?」


美香が、笑顔で言う。

「相手?なにそれ?」

「はぁ……バカ?…男女一人ずつなんだから、あんたと一緒に活動する相手がいるでしょ?」

「あぁそっか…、えっと〜」


…ん?

この人って…。





「えっ、なになに〜。太郎ちゃん、実行委員なんだ〜」

「うっせーな!俺は学習したよ…じゃんけんで、グー出したら負けるってことをな…」

「あっそ」

「…あっそってなんだい!おいおい!」

「まあ、いいじゃん?ある意味、運いいんじゃね?」

「はあ?」


「キャハハ。もぅ〜また喧嘩してるのぉ?」

「まっ、可愛いけどぉ〜」



咲輝がうちのクラスに入ると、あっという間に人だかりができた。

化粧のケバい女子がグイグイとボディタッチとやらをしてる。



「てかさ〜おい…花子!俺の相手、お前かよ〜」

 
山田がこっちを向いた。

そこにいた人の視線が集まる。

い、いたい…。



そう、皆さん。

思い出してください。


実行委員のところには、あたしの名前の隣に、山田の名前が書いてあったことを…。



「山田とか最悪…」


あたしがそう呟いたのを、美香は聞き逃さなかった。


「何いってんの?!……咲輝の好きな人のこと、聞き出せるじゃん…!」


っ?!

 
全然、思いつかなかった…。


さすがとしか、言えないよ…。



「おい、無視すんなっち」



目の前に、山田が来た。

そして…咲輝も。

 

「なんで花子っていうの…」

「いかにも、普通だから」

「はっきり言うな…」

「声、小さすぎて、聞こえませーん」



こいつ……うざい!!!

こんなのが咲輝の友達?!



「あんま、芽衣をイジメんなよ〜?」


笑いながら、咲輝が山田をあたしから遠ざけた。


「てか、太郎ちゃんも芽衣と運良すぎじゃね?」


「「え?」」



…バカ山田とはもっちゃったし…。


「だって、俺も実行委員だし?」


「「……え?!」」




あの咲輝が?!?!

面倒くさがり屋で、行事は楽しいことしかしない咲輝が?!

なんで?!


「ちょ、ん?!どーした?!咲輝。お前もじゃんけんという名の戦争に負けたのか?!」

「いやいや、俺は太郎ちゃんとは違うから〜立候補♡」

「はあ?!冗談はよせよ」

「ほんとだって〜」


そんなふわふわした言い方で、信じるわけ無いでしょ?!

しかも、立候補だなんて。


「な、なんで…?咲輝」

「え?芽衣がやるよーな気がしたからかな〜」

「…え?」


あ、たし…?
 
「幼馴染のカンってやつかな〜」

「そっ、そんな冗談笑えないし!ば、ばーか!」

  

あたしは、顔が熱くて、教室から飛び出した。