「ほらね〜あたしの言ったとおりでしょ?」


あの後、咲輝はあの女の先輩と一緒にどこかに行ってしまった。

すっごいにらまれたよ…。

怖かった…。



「ちょっと!芽衣!聞いてる?!」

「う…ああ!ごめんごめん…ぼーっとしてた!」



美香の声も聞こえないほど、さっきのちょっとした事が頭から離れない。


きっと、ほっぺたを触るなんて、咲輝はいろんな女子にしてること。

でも、あたしには大きな事なんだよ…?


わかってる…?








「……芽衣〜もう告ったら?咲輝は絶対OKじゃん?」




……ななななななな?!


「こっ告るなんで、ぜっっっっったい無理!!」

「なんでよ?負け戦しにいくわけじゃないんだから、堂々と言っちゃいなさいよ!」



ま、負け戦って…。


「本当は、芽衣だって気づいてるんじゃないの?咲輝は、芽衣だけ特別扱いしてるって。しかも、あたしには、幼馴染だからってだけじゃないように見えるよ?」


「…」



さすが美香…。

親友ってだけあって、あたしのこと理解してる…。

美香の言うとおり…。

あたしだって、ほんの少しだけ、うぬぼれてる。

さっきだって、あの先輩よりあたしの方に来てくれたって、嬉しいって思ってるよ。


「このままじゃ、ずっと幼馴染だよ」

「それは、いや!」



あたしは、なぜか大きい声を出してた。

教室には、幸い人は少ない。

よかったぁ…。


「…咲輝だって、待ってるんじゃない?芽衣が気持ち伝えてくれるの」

「………言いたい」

「うん。伝えなよ」

「…ぅん……うん!!」


言いたい。伝えたい。

勇気出して、咲輝の気持ちを知りたい。

女の子として見てくれてるのか。

咲輝もあたしのこと、好きなのか。


なんだか、そんな気持ちがあふれだした。


「美香!ありがと!あたし、頑張ってみる!」

「よし!それでこそ、あたしの親友の芽衣よ!」


美香がいてよかった。

美香が男だったら、絶対あたし、好きになってたよ!!
 
そんな馬鹿なこと考えてた。