「はぁ〜」

教室で、一人ため息をつく。


廊下で、咲輝の声が聞こえる。

元気だなぁ。

あたしのクラスの子も、教室からチラチラ咲輝の方を見てる。

本当に、すごいなー。



咲輝って、名前は女の子みたいだから、よく間違えられるのに。


普通は「女みたい!」ってからかわれるはずなのに、そんなことなくって。



むしろ、可愛い名前!とか言われてる。



顔は、大事って思い知らされるよね…。






「おい!咲輝!お前、またルリ先輩と喋ってんじゃねーよ!!」


「太郎ちゃん、うるさー。男の嫉妬はみにくいぞ〜?」


「ちっ…もう焼きそばパンやらねー。」


「それは困る!普通に困る!!」



「あはは〜焼きそばパン好きなんだね〜咲輝くん。可愛い〜」


…あ、美人で有名な先輩だ…。

わざわざ、2年のところまで来て、咲輝と喋ってるんだ…。

きっと、彼女の座を狙ってるうちの一人だろうな…。


あんな人がライバルじゃね…。


あー。もう。

こんな自分、大ッキライ。

ネガティブだし…可愛くないことばっかり言っちゃうし…。








「眉間にしわ寄りすぎて、せっかくの可愛い顔がブスになってんぞ〜?」



そのとき、突然、ほっぺたを誰かにつままれた。


「いひゃい!ひゃひ!(痛い!咲輝!)」


気がつくと、あたしの教室に来ていた咲輝。
 
平気な顔で、可愛いとか言っちゃってさ…。

このたらし!!

あたしは、咲輝の方をキッとにらむ。




「ぷっ。そうそう!芽衣は元気が一番!」


…?!

………ほんとに…ずるい。

いつも、ヒーローみたいにばっちりなタイミングで、あたしを笑顔にしてくれるんだもん…。


「ひゃひほはは…(咲輝のばか…)」

「あ??ははっ、なんて言った?」

「ふぁふぁっへんへひょ!(わかってんでしょ!)」



咲輝のこと、やっぱり好きだなぁ…。
 
好きって今すぐ伝えちゃいたい…。


咲輝は、あたしのこと、



どう思ってますか?