「ちょっと…早くしてよ!もう先行くからね〜」
「あとちょっと!待ってて!!!」
…さっきもそんなこと言ってたじゃん…。
ほんっとに、咲輝って…あたしがいないと、
なにもできないじゃん!
今朝も、あたしは、咲輝の準備が終わるのを待ってる。
いつもいつも、待たせるんだから…。
「よしっ!行くぞ!芽衣」
「っ?!…行くぞって、あたしは待っててあげたんだからね?!」
「わかってるって、ほら。遅刻すんぞー」
咲輝は、あたしの手を握って、走り始める。
…こーいうところ、ほんとにずるい…。
咲輝にとっては、なんてことないんだもんね。
あたしばっかりドキドキしちゃって…。
あたしは、小さい頃に咲輝に告白された。
でも、小学生のときだった。
しかも、あたしは笑って「うそでしょ?」って言っちゃった。
本当は嬉しかったのに。
恥ずかしくて。
今でも咲輝があたしの事好きでいてくれてるなんて思ってない。
そんなうぬぼれたくない。
だって、泣き虫だった咲輝は、今はちゃんとした男子だし。
小さい頃とは何もかも変わってしまったんだから。
けど、あたしに対しての態度はずっと変わらない。
それが、嬉しい。
咲輝の気持ちが知りたいなぁ…。
毎日、そう思ってばっかり。
いくじなして…。