「おーい、芽衣ー?」


はっ?!?!

この声は…。


「早く出ておいで〜」


咲輝だ…。



「あっ!咲輝くんだぁ〜。」

「なにしてんのー?」


……来てくれた!って思ったのも、束の間。

もう3年の先輩につかまってる。


「探し物してるんスよね〜」

「ふ〜ん…あたしたちも探そっかぁ?」

「あ〜。……年上でも、女のコに俺の用事なんかに付きあわせたくないんで。」

 

…出たよ。

すぐ女の子が喜ぶようなことを、言っちゃうんだから…。


「うんっ、じゃあ頑張ってねぇ〜」

「ばいば〜い」


ほっ…。

どっか行ってくれた…。


絶対、あたしを探してるなんて言ったら、「誰それ?そんなことより遊ぼー」ってなってたと思う…。

一応、気遣ってくれた…?




「みーつけたー」


聞き慣れた声に、後ろを振り向くと、そこには咲輝がいた。

「なんで逃げたんだよ?顔が赤かったから、熱でもあんのかと思って、追いかけてきたんだよ」

「っ?!……そ、それは//」

「まあ、元気そーでよかったー。」

「うん…ありがと…」


咲輝は満足気な顔をしてる。

本当に、心配してくれたんだ…。

 
「なんで…実行委員に立候補…したの…?」


おそるおそる聞いてみる。

またそれかよ!っていらつかせちゃうかな?と思ったから。


「…」

「咲輝…?」


なんで下向いてるの…。

 
「そんな気になるんだ〜俺のこと!」


んな?!

急に元気になった咲輝。

あたしにどんどん近づいてくる。


「ちちちちちがう!!」


…さっき、ちょっと動揺したように見えたのは…気のせい?


「太郎ちゃんさ、あんな感じだけど、良い奴だからさ。よろしくな」 


「よろしくって…あたし…あの人苦手…。」

「まあまあ〜。なんかあったら、俺が怒ってやるから〜安心しろ〜」

「頼りない!!」

「あ??なんだと?!」

「咲輝なんかじゃ、あたしを守れないし…」


「…言うね〜?」



あたしと咲輝は、幼馴染。

こんなふうに、しょーもない会話しながら、過ごしてきた。

きっと、あたしだけが好きなんだ。

咲輝は、あたしのこと女として見てない。

うん。

絶対そうだよ。


……ね…?